イキガミ
人生最期の24時間。あなたは誰のために生きますか?
2008年 日本
松田翔太/山田孝之/成海璃子/塚本高史/金井勇太/佐野和真
「国家繁栄維持法」が施行された世界。
それは国民に死の恐怖を植え付け、生命の価値を意識させる事で犯罪抑止につなげようというもの。
少しでも疑問を抱くものは容赦なく処置される。

小学校に入学する際、全児童に行われる予防接種には1000人に1人の確率でカプセルが埋め込まれ、カプセルを埋め込まれた者は18〜24歳の間までに、あらかじめ設定された時刻に命を奪われる。
対象者と死亡時期を知るのは国家のみ。
厚生保健省の職についた藤本の任務は死亡予告証、通称“逝紙”を、この国繁死亡者に配達すること。つまり死亡宣告だ。
ストリートミュージシャンからデビューし、初の音楽番組が決まっていたミュージシャン、田辺翼。
国家繁栄維持法を支持する女性議員の息子、滝沢直樹。
幼い頃に両親を亡くし、その事故がもとで視力を失ってしまった妹を懸命に支える兄、飯塚さとし。
“逝紙”を届けられた者に残された時間は24時間……
それぞれの最期の24時間を目の当たりにした藤本は、抑えがたい感情と葛藤しはじめる。

人間らしさのない政府と、イキガミが届いた者の必死に抗おうとする姿がとても対照的。
暴走する者、輝こうとする者、誰かを守ろうとする者。それぞれの生き方が浮かび上がります。
そもそもは国家のため、と割り切ろうとしていた藤本(松田翔太)も、徐々に人間らしさが出てきます。
松田くんは見た目がクールなので、とても役にあっているかんじ。最初から熱い人間だったらこの役の良さは出ないと思う。
そしてミュージシャンの田辺(金井勇太)。それまでは暗い雰囲気だった彼が人生最期でとびきり輝きました。
このあたりは金井くんの上手さだろうと。
さらに注目すべきは飯塚兄妹の、美しい兄妹愛でしょう。妹(成海璃子)を必死に支えてきたさとし(山田孝之)に届けられるイキガミと、絶望感。それでもまだ自分より妹の事を思い続け、泣かせます。
自分だったら人の為に最期の時間を使えるだろうか……
最期に輝けるだろうか……